作品未満・その1
今日思いついたのはこんな話。
***
ある晴れた昼下がり。
時間停止能力を持つ男、山泉が歩いているのは山の手の住宅街の中。
例によって明確な目的があるわけではない。
時間をとめられる彼にとって金持ちがねたましいはずはないが、そこはやはり周囲からセレブだのなんだのと持ち上げられている連中を好ましいと思えるはずがないのも事実。
柵越しに見える芝生張りの広い庭に、つい憤慨して鼻を鳴らす。
と、庭の一角を占めるウッドデッキに置かれたテーブルを拭き掃除する女性の姿が山泉の目に入った。
見た所、二十代の半ばか。ワンピースの水色のロングスカートにエプロンドレスという格好からしてどこか浮世離れして見えた。セレブ婚の新妻といったところか。あるいは彼女の実家なのかもしれないが。
前かがみになって鼻歌交じりといった様子でテーブルを吹くのにあわせ、後ろに突き出した尻がこれ見よがしに揺れる。
生まれてこの方、理不尽な目になど遭ったことのない、とでも言いたげな光景に、山泉は小さく呟きをもらす。
「金も地位も名誉もなんの意味も成さない圧倒的な力ってのを教えてやるよ」
そして世界は静寂に包まれる。
山泉は無遠慮に柵を乗り越え、庭に足を踏み入れた。幸せそうな笑みを浮かべている女性のもとに歩み寄って横顔をじっくりと眺めてから、ロングスカートの裾に両手をかけ、じりじりとまくりあげていく。
薄いベージュのストッキングに包まれた脚があらわになり、やがて、シルクの白いショーツを履いた下半身があますところなく陽光の下にさらされることとなった。
水色のロングスカートはさながら花弁のようにふんわりとひろがったままだ。
「いい眺めですよ、奥さん」
山泉はそう耳元でささやきかけながら、丸みを帯びた尻を丹念に撫で回しはじめた――。
***
絵で描くとしたら後ろから? 前から? 下から?
と、いろいろと技巧を凝らす必要があったりなかったり。
***
ある晴れた昼下がり。
時間停止能力を持つ男、山泉が歩いているのは山の手の住宅街の中。
例によって明確な目的があるわけではない。
時間をとめられる彼にとって金持ちがねたましいはずはないが、そこはやはり周囲からセレブだのなんだのと持ち上げられている連中を好ましいと思えるはずがないのも事実。
柵越しに見える芝生張りの広い庭に、つい憤慨して鼻を鳴らす。
と、庭の一角を占めるウッドデッキに置かれたテーブルを拭き掃除する女性の姿が山泉の目に入った。
見た所、二十代の半ばか。ワンピースの水色のロングスカートにエプロンドレスという格好からしてどこか浮世離れして見えた。セレブ婚の新妻といったところか。あるいは彼女の実家なのかもしれないが。
前かがみになって鼻歌交じりといった様子でテーブルを吹くのにあわせ、後ろに突き出した尻がこれ見よがしに揺れる。
生まれてこの方、理不尽な目になど遭ったことのない、とでも言いたげな光景に、山泉は小さく呟きをもらす。
「金も地位も名誉もなんの意味も成さない圧倒的な力ってのを教えてやるよ」
そして世界は静寂に包まれる。
山泉は無遠慮に柵を乗り越え、庭に足を踏み入れた。幸せそうな笑みを浮かべている女性のもとに歩み寄って横顔をじっくりと眺めてから、ロングスカートの裾に両手をかけ、じりじりとまくりあげていく。
薄いベージュのストッキングに包まれた脚があらわになり、やがて、シルクの白いショーツを履いた下半身があますところなく陽光の下にさらされることとなった。
水色のロングスカートはさながら花弁のようにふんわりとひろがったままだ。
「いい眺めですよ、奥さん」
山泉はそう耳元でささやきかけながら、丸みを帯びた尻を丹念に撫で回しはじめた――。
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絵で描くとしたら後ろから? 前から? 下から?
と、いろいろと技巧を凝らす必要があったりなかったり。
成功回避願望
人には成功したいという願望のほかに、
成功したくない願望というのがあるそうです。
言われてみればわたしの場合でも、今日のように絵を二枚描いて、
まだまだ余力があるような場合でも、
「これ以上のハイペースで展開する必要があるのか?」
と精神的なブレーキを無意識のうちにかけているような感じがあります。
失敗を恐れずにやる、というのはよく聞く話ですが、
成功を恐れずに続ける、というのは珍しいけれど事実かもしれません。
成功したくない願望というのがあるそうです。
言われてみればわたしの場合でも、今日のように絵を二枚描いて、
まだまだ余力があるような場合でも、
「これ以上のハイペースで展開する必要があるのか?」
と精神的なブレーキを無意識のうちにかけているような感じがあります。
失敗を恐れずにやる、というのはよく聞く話ですが、
成功を恐れずに続ける、というのは珍しいけれど事実かもしれません。
混ぜるな危険&おんなじ構図になってシモタ
『シチュエーションの概略』
女子フィギュアの大会。
優勝候補の一角と謳われる選手が、体格を生かした持ち味のパワフルでダイナミックな演技を終えた。
それまで強張りぎみだった顔にようやく満足げな笑みが浮かび、リンクを滑走し、観客の声援に応えている。
「さぞ気分いいところだろうけど、セックスとどっちが気持ちいいのかな」
観客席で男が不埒な言葉を呟いた次の瞬間、アリーナの時間が止まった――。
***
描いている途中から気づいていたのだが、フィギュアスケートとグラマー体系って食い合わせ悪かったなあ、と。
男が小柄なだけでなく、女性が大柄なんだな、この場合。
いろんなことを同時にやろうとするとおかしなことになってしまう好例。
それにチアリーダーの時と構図がほとんど一緒になってしまった。
どうしてもこう、後ろから、というイメージになってしまうんだよな。
元絵がおんなじ棒立ちだからこうなるわけで、もっとポーズを工夫しないと。