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「時間停止(タイムストップ)」を題材とした 小説・イラスト・漫画・ゲーム等の創作物に関する ブログ。

2012-09

投稿作品「不止身日記 ~4~」(孤独な水鶏さん)

突然の痛みに目を覚ますと、その瞬間に時が止まる。
眼だけ動かして見ると、小さな足で右頬をキックされていた。
夫婦の寝室に横たわっているのは、十人の子供のうち女子だけ六人と、
そのまだ若々しい母親、その裸体たちに包まれた俺の計八人である。
いらないので男子部屋に運んだ彼女らの父もしくは夫も、
今ごろ息子たちに囲まれて眠りについているだろう。
俺は初めて物理的な反抗をしてくれた末っ子の少女を母親の上に返すと、
再び瞼を閉じて七人分の寝息を再開させる。

これだけの規模の学園にいると、毎日毎晩、実に様々な児童・生徒が
在籍していることに気づかされ、驚かされる。
昨夕に選んだ女子サッカー部のキャプテンは、ベタな大家族の一員だったのだ。
しかもかなりハイレベルなスポーツ一家で、上は父親から下は赤ん坊まで、
例外なく筋骨隆々。七割が日に焼けて真っ黒なのだが、
残りの三割も屋内スポーツなので焼けないだけ、一目でわかる筋肉質である。
長女レスリング次女競泳、三女柔道四女サッカー、五女陸上六女顔面キッカーと、
一人として重複していないのもおもしろい。ちなみに母親はママさんバレー選手。
そんな自他ともに認める強くたくましい女たちが、
見ず知らずの青年の肉布団になっているなんて、誰が想像できただろう。
長女と次女、三女と四女がそれぞれ向かい合うように円陣を組んで抱き合い、
隣同士の腕をからめて手の指をがっちりと組み合わせるだけ。簡易寝袋の完成。
長女の手ごろな大きさの二つのふくらみに首を挟むように入る。
目の前には競泳水着の日焼け跡がくっきりとついた次女の寝顔。
両脇を、ひったくりを一本背負いで捕まえたことのある三女と、
部員や教師からも信頼され、学内でも絶大な人気を誇る四女が固める。
五女は次女の股間に挟まれた俺のものをその小さな口で温めてくれている。
母親には六女が寝相で暴れないように両腕で抱えてもらっていたのだが
効果はなかったようだ。
それどころか、寝相よりたちの悪い音が聞こえてきた。
もちろん、オムツまで脱がせたのは俺だが、結果的に母親の顔にヒットするなんて、
それこそ誰が予想できただろう。
「んん……」
さすがに目を覚ましそうだ。このまま瞼を開けず=時を止めずに展開を聞こう。
「あらやだ……ゆいったらもう……」
完全に覚醒し、娘の分泌物で顔が濡れていることと、娘も自分も全裸なことと、
他の娘も全裸で俺の肉布団になっていることを一度に見て、理解したはずだ。
しかし母親は、俺(たち)の枕もとを、ゆっくり音をたてないように通り過ぎると、
寝室を出ていったようだ。やがて階下の洗面所から、顔を洗う音が聞こえてくる。
帰ってくると、新しいオムツを持ってきたのか、六女にそれをはかせると、
再び布団に横になる。
すぐそばに放置されている自分のパジャマは着ようともしなかった。
ましてや、自分の寝室に娘たちが集合し不審者を包んでいることも気にしていない。
俺は安心して五女の口内に、たまっていたものを出してみる。
すぐに目覚めたようだが、無意識にほとんど飲み込んでくれたようだ。
数十秒後には、六つになった寝息に、再び七つ目が加わった。

その後、夜明け前に全員起き始めたようで、一人ずつ寝袋が解体され始めたときは
名残惜しかったが、すかさず時を止めてジャージやTシャツ(もちろん下着も)を
着せずに家族の八割を日課のジョギングに送り出したのに喜んだことは余談である。

大家族の朝はいつも以上に騒がしいようだ。
何せ今日は十二人家族の約半分が参加する体育祭の日。
全員、今回の体育祭は忘れられないイベントとなるだろう。
いや、この先の数日間は、俺にとっても忘れられない日々となるはずだ。
何てったって、普段着も制服も体操服も、ジョギングに出ている間にクローゼットや
タンスからすべて押収して、ゴミ捨て場に出してしまったのだから。
さすがに靴下や靴は残しておいてあげたが。変なところで優しさが残っているな。
とにかくこの家族は、次に衣料品店に行くまでの間はほぼ全裸で過ごさねばならない。
(もちろん父親や息子たちもだ。聞きたくなかった人は忘れてくれ)
普段着はそのときに買えるが、制服や体操服はどうなるのだろう。……興味深い。
とりあえず俺も、次女と鼻から俺の分泌物を垂らす五女の間で、
すっかり慣れてしまった方法、瞼を閉じながら朝食を食べ始めた。
娘の顔を見て気づいたわけでもなさそうだが、母親に
「さくら、顔洗ってきなさい」
と言われ渋々立ちあがって洗面所に行ってしまう五女さくらちゃん。もったいない。
「あなたはもう洗ったから化粧するだけですよね」

頬に赤い渦巻、鼻の下に青い鼻水を書かれ、さくらちゃんの黄色い制帽をかぶり、
しかもその下につけているのは靴下とスリッパのみで食器を洗う母親。
そんな母親を手伝う全裸の長女と次女の顔面や身体にも卑猥な落書きをしていく。
二人はこのままそれぞれの職場や大学に行くのだ。哀れ、いや滑稽なものだな。

最初に体育祭の準備等がある三女、次男、四女が早めに登校していくようだ。
特に長女と並んでタイマン勝負の上級者である柔道女子高生の三女は、
普段から闘争心むき出しで、家族との喧嘩でもその強面をいかんなく発揮していたが、
名前も知らない男に全裸にされたあげく、トレーニング中も常に胸や尻をもまれたり、
股間を刺激されたりしたのに無視・我慢しきるとはなかなかの根性である。
いや、プロとしてはまだまだというべきか。
ましてや過去に犯罪者を撃退したことがある者が、
全裸で街中を歩くのはまずいのではないか?

そして正規の登校時間になって、初等部の三男と五女も玄関に向かう。
あとから四男と六女を連れて応援に行く母親と、どっちに同行しようか迷ったが、
母親のまぬけな面をみて満足し、二人についていくことにした。
もちろんさくらちゃんは制帽なしである。熱中症になるとまずいので、
集団登校する先輩の男子の下半身を脱がせ、彼の白ブリーフをかぶせてあげた。


俺は退屈な開会式を救護係に集合していた複数人の養護教諭たちと過ごすと、
午前の部をしっかりと水分補給をしながら大勢の笑顔の少女少年らと過ごした。
水分排出をしたくなっても、わざわざトイレに行くのも面倒だし必要ないので、
子供たちの水分として補給させてあげる再利用エコロジー。
いや、スタートは俺が子供たちの水筒からありがたくいただいた飲み物なのだが。
開眼=停止中でも口に注いだ液体や飲み込めるサイズの固形物なら、
往年の時間停止ものよろしく無意識にのどを鳴らして飲み込んでくれる。
少なくとも俺が悪戯した競技に出場した参加者は、
全員暑そうだったので服を脱がせてあげた。
だんだんグラウンド内の肌色や小麦色の割合が高くなってきている。

出場者のものに取り換えて行われたパンツ食い競争や、
足首ではなく乳首を専用のピアスでつなげた二人三乳など、
企画ものの作品をはるかに超えた勝負を見せてくれる学生たち。
午前の部のラストを飾る綱引きは見ものだった。
何せまた新しい試みにチャレンジしてみたからだ。
父兄も参加して、壮絶な戦いが繰り広げられていた競技中に開眼した俺は、
先頭の初等部一年と六年のペアから最後尾の父兄まで、
一人ずつ綱を離させていったのだ。
もちろん女子や参加していた父兄、の中の姉や若い母親は全裸にして、
綱の両脇に足を閉じさせ両腕を脇にそろえさせる。いわゆる気をつけの姿勢だ。
さて、この状態で瞼を閉じ=時を動かしたらどうなるか?
「…………………………」
けっこう長い間、グラウンド中をいやーな沈黙が流れる。しかし次の瞬間には、
「選手のみなさんありがとうございました。それでは次の競技に参りましょう!」
という放送部のアナウンスが流れ、再び喧騒が始まった。
参加者もふにおちない顔ややりきった顔など様々だが、ぞろぞろと退場していく。
用具係の女子をゴールテープで亀甲縛りしながら、俺は叫んだ。
「全スルーはないだろう! 勝ち負けまで気にしないのか!」

昼休みは再びあの大家族を見つけて、豪華な弁当をいただいた。
母親は俺のメイクの上にさらに通常のメイクを施して不気味さを増し、
黄色い制帽もかぶったままだ。
つまり、五女のさくらちゃんも白ブリーフをかぶったままだ。
白組だったのが不幸中の幸いだが、だんだんかわいそうになってきた。
それでも変わらぬ笑顔で料理を口に運ぶ家族たち。
「あい、どうしたの? 浮かない顔して。ほら、大地ももっと食べて」
しかし、三女の柔道少女改めあいちゃんと、次男の野球少年大地くんは、
午後の部への競技に向けて気合十分の形相だ。
昨夕からの全裸状態や俺の悪戯行為にようやく違和感を抱いてくれているのか、
ほとんど怒っているような表情にも見えるあいちゃん。
普段の食欲もないようだったので、時を止めて「腹が減っては戦はできぬだよ」と
俺の特製ソースをかけた唐揚げを俺の再利用ジュースで流し込んであげる。
残りの時間は真後ろに座って抱きつくように胸や顔をマッサージしてあげる。
しかし、あいちゃんのしかめ面はさらに渋くなる一方だった。

午後の部も滞りしかなかったが続いた。
お互いの頭にかぶったショーツを奪い合う騎馬戦や、
それぞれの部で使う道具(卓球部→ピンポン玉、書道部→筆、陸上部→バトン、
料理部→おたま、バドミントン部→羽根、文芸部→マジックペンなどなど)を
あそこに入れた状態で走る部活動対抗リレー。
ラストの学年別リレーの前に行われたフォークダンスは、サークルの中央に立つと
俺一人の力とは思えないほどの結果が一望できる時間で、これ以上ない優越感を得た。

ようやくラストの競技、初等部高学年から高等部三年までの体力自慢たちの見せ場。
実に全選手の三分の二以上が俺の悪戯の犠牲になっているのを見ると、
つくづく自分も何に体力使っているんだろうと自問自答したくなったが保留とする。
「あいー、大地―、もえー、海斗ー、がんばれー!!!」
入場の音楽が流れ、選手たちが小走りで移動し始めるタイミングを聞き計らい停止。
まずは応援席をぐるりと一周してみる。
全裸の娘を抱いている全裸羞恥メイクの母親と、そのそばに立つ全裸の息子と
白ブリーフをかぶった娘が、家族全員で大声で叫んでいるポーズのまま静止している。
ちなみに二人三乳の選手だったさくらちゃんは、
現在は応援に来ていた弟の空くんとつながっている。
彼女らが応援している選手たちも、いずれも惨憺たる有様の四人の娘と息子。
特に娘二人はともに人生史上最悪のコンディションで競技に臨まなければならない。
姉は自身の道着の帯で両手が使えるヴァージョンの亀甲縛りをされ、
昨日の放課後からもはや慢性的に被害を受け続けている妹は今にも倒れそうな顔色だ。
他の選手の表情を見て回っても、肉体的疲労より精神的疲労が勝っているようで、
それでも俺の存在に気づいてくれないのは言わずもがなだが、少しは感謝する。

最初に時間が停まっていることに気づいたときは喜んだ。神というものに感謝した。
そして半日バカやって過ごしたあと、いつのまにか気を失っていて、
次に目覚めたとき、眠っていた分の時間が経過していると知った。
最初は自分の行為がすべて無効化されたのではないかと誤認したが、
実際はその間、みんな俺にされたことを気にせずに生活し続けていると気づいた。
そんな生活に飽きてからは、どんなことをすれば気にしてくれるのか、
反応してくれるのかを模索する毎日。
最後に動く人間を見たのはいつだろう? 人の声を聞けるのは瞑目の中だけ。
最初は完全に無視された。そして一度にどんなことをしても意味がないことを知る。
少なくとも目の前に並ぶ家族のように、一日以上何度も何度も継続して働きかけて、
ようやく表情が変わったり、体調が悪くなったりする程度。

こうなったらもう、最後の競技までことごとく台無しにするしかない。
残しておいた小道具は、この日のために近所の病院や薬局を回って大量奪取した、
最低でも約一クラスの人数分はある浣腸薬と下剤の山である。
二種類とも注入・服用させるタイミングで効果が表れる時間は操れるが、
選手全員に使用することはできない。
第一レースの第一走者から餌食にして、早々と競技を終わらせてしまうか。
二人には何の恨みもないが、アンカーのあいちゃんともえちゃんの一つ前の選手を
餌食にして直前で走らせずに退場してもらうか。
それともやはりアンカー選手全員を餌食にして、グダグダの結果のまま終わらせるか。

どれを選ぶにしろ、この学園の今年の体育祭は、少なくとも俺だけの目には、
史上最低最悪の体育祭として、記憶に残り続けるだろう。
そろそろこんな挑戦もあきらめて、純粋なコレクターになる道もあるだろうか。
そんなことを思いながら、俺はまた静かに瞼を閉じた。


まとめ
   父 母 長女 次女 長男 三女 次男 四女 三男 五女  四男 六女
名前              あい 大地 もえ 海斗 さくら 空  ゆい
学年     社会 大3 大1 高2 高1 中2 初5 初2
体育祭  応援          参加 参加 参加 参加 参加  応援 応援

---本文ここまで
孤独な水鶏さんから、新作の投稿を戴きました。
ご意見ご感想をお待ちしております。

投稿作品「不止身日記 ~3~」(孤独な水鶏さん)

お詫び 誠に勝手ながら、私的な理由により~2~を保留し、
    先に~3~を公開することをここにお詫びいたします。


「最近はこの辺も物騒になってきたから、知らない人の話は聞いちゃダメよ?」
「わかってるって」
ピタッ
「いや、知らない人に脱がされている現在進行形でわかってないよね?」
「ちゃんと上級生のお姉ちゃんたちについていくのよ?」
「もう、うるさいなあ」
ピタッ
「お姉ちゃんたちも裸だから恥ずかしくないよな?」
「いってきまあす」
「いってらっしゃい」
ピタッ
「ついでにママさんにも今日一日全裸で過ごしてもらいますか」

というわけで、ランドセルしか身につけていない集団登校生たちとの朝である。
基本的に十代前半までなら男性でも関係なく悪戯することができる俺は、
女子に男子のモノをこすらせたり、男子の指を女子のアナに入れさせたりした。
その間も、すれちがうOLや主婦たちを次々と身軽にしていく。
やがて、一行はオーソドックスな外見の学校、いや、学園に到着した。
どうやら義務教育プラス三年間通える一貫校のようだ。
にも関わらず、全学年私服というのも珍しい。

全裸のままそれぞれの教室へ向かう子供たちを聞き送ると、
ピタッ
俺は玄関に並んで新入部員の勧誘活動をしている集団に近づいた。
その中でも約半分で、美人・カワイイ女子、イケメンが駆り出されているようだ。
ちょうどいい。
普通なら話すこともないようなタイプの男女二人を選んで、
お似合わないカップルを次々と作っていく。
チアリーディング部の日に焼けた美女と、日光が足りてない漫研のメガネ少年。
文芸部のお堅い委員長タイプな貧乳女子と、チャラいサッカー部の青年。
茶道部の体躯も声も小さな隠れ美少女と、縦にも横にも大きな相撲部の巨漢。
もちろん全員なかよく生まれたままの姿にすると、
それぞれ正常位、後背位、騎乗位とバリエーションをつけて結合させた。

時間を進めながら校内を歩いていくうちに一時間目の授業が始まる。
俺は適当に選んだ没個性的な女子を使って、初の試みをすることにした。
まあ、簡単な実験である。
すでに母校で、全裸にしても異物を挿入しても結合させても、
気にすることなく授業を進行させることは判明している。
しかしそれはあくまで、彼女らが教室にいて、席についていて、
筆記具を持てる位置に留まっていたからではないだろうか。
そう考えた俺は、まず彼女を立たせ全裸にすると、その体を教室の後ろに運んだ。
瞼を閉じる。
「あれ?」
そんな小声が聞こえて数秒後には、席につく音が聞こえた。
ピタッ
なるほど、目に見える範囲なら戻れるということか?
また彼女を教室の後ろに立たせると、今度は俺が彼女の席についてみる。
「あれ?」
さっきと同じ言葉が発せられたが、今度は俺のそばまで歩いてくる気配がして、
そこで止まった。
ピタッ
見ると、彼女は俺の隣で正座していた。手にはノートとシャーペンを持っている。
……なるほど、授業が受けられればいいということか?
それならこれはどうだ。
俺は彼女を肩に担ぐと、そのまま教室を出て、あえて男子トイレに向かった。
個室に入り、便器のフタの上に座らせる。
内側から鍵をかけ、自分は彼女とドアの間に腕を組んで仁王立ちした。
瞼を閉じる。
「………えっ」
しばらく待ってみたが、反応はそれだけのようだ。
ピタッ
見ると特に立ちあがりも、ましてや脱出しようと試みもせず、
何となく恥ずかしそうな顔でうつむいている。
このまま休み時間になったらどうなるのかも気になったが、
新たな可能性も見いだせたので俺はこのまま彼女を放置することにした。
それもあえて鍵は外さず、ドアの上を乗り越えて外に出てみる。
どうなるか楽しみだ。

この学園の二時間目と三時間目の間の休み時間は少し長いようだ。
経験上、このチャンスに小用はもちろん、腹の調子が悪くて大の方も
済ませようとする生徒(先生も)が少なくないことを俺は知っている。
俺は学園長室がある校舎内に範囲をしぼり、その中のトイレを順に巡っていった。
初等部、中等部、高等部のほぼ中央に位置する校舎で、年齢層は幅広く。
予想通り人の出入りは少なく、人目を忍んで大に挑戦するチャレンジャー多数。
もちろん男女差別なく探した結果、以下の戦士を集めることに成功した。
女:初5 中3 高4 教2  小9 大5
男:初3 中3 除外 除外  小4 大2
この二十人を、どの学校でも意外に狭いことで定評のある校長室
(ここでは学園長室だったか)に運んでゆく。
残念ながら学園長は出張中であったが、その豪華な机の上や、
ソファー、カーペットの上にまんべんなく彼女らを整列させると、
自分は文字通り学園長のイスに座って、ゆっくりと目を閉じた。
液体が放出される音、各々の息張りや踏ん張りの声が再開される。
見られないのも残念だが、初等部と中等部の男子二人ずつの計四人は
部屋の四方に置かれていた観葉植物に水を与え、
初等部から教師までそれぞれ一人ずつの女子たちは床に並べた
歴代の学園長の写真の顔にいろいろな意味で泥を塗っているはずだ。
そして目の前の机の上に落とされたであろう少女の不純物からは
早くも異臭が漂い始めてきた。
全員の挑戦が終了し、室内がいくらかざわめき始めたところで
ピタッ 瞼を開ける。
予想以上の地獄絵図の中を悠然と横断し、
まずは不純な栄養が与えられた観葉植物で扉を封鎖する。
気休めに換気扇のスイッチを入れてから来た道を戻り、
イスの後ろの窓から外に出ると、職員室から失敬したガムテープで目張りする。
上の小窓は全開なので窒息することはないだろう。
最後に部屋の外側からも侵入時に使用した(これも職員室から失敬した)
マスターキーで扉を施錠。学園長室は簡単には出入り不能な密室となった。
部屋の主は夕方には帰ってくるそうだから、このまま様子を見ておこう。

給食の時間になった。
食べ盛りの少女から一セット強奪して腹を満たした後、
俺はふと気になることを思い出して、もう一セット隣の女子の残りを強奪した。
向かった先は一時間目の実験に使った男子トイレである。
見ると個室の鍵はまだ閉まっていた。
ドアに飛びつき上から中をのぞくと、彼女は出たときと同じ姿勢のままそこにいた。
乗り越えて中に入り、鍵とドアを開けて給食を取り、彼女の膝の上に乗せてから
瞼を閉じる。
「あっ」
数秒後、目の前から食器の触れ合う音や、物を咀嚼する音が聞こえた。
ピタッ 俺は彼女の嬉しそうな顔を見てから、
ドアを開け放した状態にして元の教室に戻った。
あとで学園長室にも、小窓から人数分のパンでも投げ入れることにしよう。

昼休み、
何事もなかったかのように友だちと合流し無邪気に遊んでいる状態で
静止している全裸のトイレ実験少女を眺めながら、
俺自身も懐かしくブランコをこいでいる。
すぐそばには彼女よりも幼い少年少女たちが列を作り、
こちらをうらやましそうな、くやしそうな表情で見ながら静止している。
文字通り指をくわえて待っている子まで見つけ、さすがに俺は苦笑した。
「やったー、ボクがいちばん!」
ピタッ
「おっと、ブランコに乗るときは自分のもブランとさせなきゃダメだろ」
……自分で自分のギャグセンスに寒気がしてくる今日この頃である。
「ねぇねぇ、つぎはあいのばんだよ」
ピタッ
「女の子はどうすればいいかって? こんな小枝を挿して代用するんだ」

放課後、学園長が出張を終え帰ってきた。
自分の仕事場に入ると、入れ替わりで下半身を露出した二十人が
ぞろぞろと出てくる。全員憔悴しきった顔だ。無理もない。
そのうち高等部の女子二人が、現在時刻に気づいて思い出したように
学園長室に戻っていく。偶然今月の掃除当番だったらしい。ご苦労なことだ。

そろそろ今日の寝床まで案内してくれる女子を探そうと外に出ると、
例の被放置プレイ少女が正門の近くに一人立っていた。つくづくよく遭遇するな。
どうやら迎えの車を待っているらしい。全裸にショルダーバック一つでは
とても寒そうだったので、人肌で温めてやること数分後。
近くに車が停まる音がして瞼を開けると、
とてつもなく長く豪華なリムジンが目の前にあった。
……おいおいまさか……
とりあえず瞼を閉じたり開けたりしながら成り行きを見ていくことにしよう。
運転席から降りてきた初老の男性と(長すぎる)後部座席から降りてきた
メイド服を着た(時代錯誤も甚だしい)二人の女性がそろって少女に頭を下げる。
「お待たせ致しました、お嬢様」
瞼を閉じたまま、少女と結合したまま、人生初のリムジンに乗り込む。
こんなベタなオチに甘んじるなと思いながらも、両隣に座った
メイド服をそれぞれ片手で脱がせ始めている俺であった。

気に入った、俺もしばらくこの学園に通ってみることにしよう。
せめて体育祭や文化祭に参加するまで、毎晩寝床を変えても
豪華さには事欠かないから。なんて思った今日この頃であった。

---本文ここまで

本日は孤独な水鶏さんから二作品投稿していただきました。
時間停止解除後の反応ならぬ、時間停止後の無反応を楽しむ独特の設定が
活きるシリーズです。
是非是非みなさまのご意見ご感想をお聞かせください。

こういう設定がウケるものなのかどうか、孤独な水鶏さんも知りたいでしょう
けど、わたしも知りたいです。

投稿作品「タイムストップトラベラー」(孤独な水鶏さん)

俺は最近の交流会で知り合ったばかりの友人を訪ねることにした。
なんでも彼の能力は俺と同じ時間停止ともう一つ別の能力の複合体らしい。
さっそく、俺はもう一つの能力を使い、彼の家の前に瞬間移動する。
俺の家と同じような、郊外に建つそれなりの規模の邸宅だ。
ベルを鳴らすと、ドアが開き彼が顔を出した。
「やあ、よく来たね。待ってたよ」
中に入ると、リビングに移動するまでの間に、廊下に無造作に置かれている、
というか放置されている全裸の女体たちを観察していく。
国籍も年齢も様々だ。しかし、どこか違和感、というか見覚えがある気がする。
特に廊下の歩行を邪魔するように開脚しながら座っている丸坊主の白人少女。
または完全に仰向けに横たわっているブロンドの女性。
しかし、リビングに並べられたコレクションたちを見て、俺は気づいた。
「おい、君のもう一つの能力ってのはもしかして……」
「ああ、お前の空間移動よりも一枚上の、時空間移動だよ」
そう、今まで見てきた女性の約半分が、
どれも世界史の教科書で見たことがある顔ばかりだったのだ。
最初の白人少女は、戦時中にあまりにも有名な日記を書いたあの少女。
ブロンドの女性は、ハリウッドで活躍した伝説のあの女優。
そして例えば目の前に並ぶ中で右から三番目の東洋人の彼女は、
自身の身長以上の長すぎる黒髪を見るに、ニッポンの昔の女性だろう。
「しかし大丈夫なのか? 過去に行って拉致してきたんだろう?
 歴史改変とかそういった諸々は」
「じゃあ聞くが、お前は彼女の最期についてどんな記憶を持ってる?」
言いながら彼は、ソファーの前で四つんばいになっている女性を指差した。
「彼女と言われても」
「お前もよく知っているだろう。彼女の鼻がもう少し低かったら……」
「! 確か毒蛇に体を噛ませて自殺したはず」
「その通り。しかし彼女は現在、俺の足乗せイスとして現代にいる」
「もうなにがなんだか」
「俺が過去で何をしても、歴史は変わらないってことだ」
「そんなバカな」
「時間を止められるお前に言われたくないよ」
「………」
その後、彼は並立しているコレクションたちを一体ずつ紹介してくれた。
右から、革命によって処刑された王妃、古代の洞窟壁画を描いたという黒人少女、
世界最古の長編小説を書いたとされるニッポン人の女性、
戦争で活躍したが火刑に処された白人少女、80年代に活躍した黒人歌手、
そしてアジアの大国で猛威をふるった女武将。
やはり絵画やそれすらもない文献のみでしか知らなかった歴史上の女性たちが、
自分の目の前に、しかも全裸で直立している様には興奮を隠せない。
「あとは……そうだな、そこのポールハンガー。誰だかわかるか?」
見ると確かにリビングの入り口付近に、奇抜な髪の色をした女性が、
両手と片足を上げて立っている。
しかし、こんな色に髪を染められるようになったのは、ずいぶん最近のはずだ。
「現代人か? う~ん、誰だろう」
「今もテレビに出ているよ。全裸にすっぴんじゃ案外わからないだろ?」
「ああ! あの名前も奇抜な!」
「正解だ」
「ますますわからなくなってきたぞ? 今も歌手として活躍している彼女と、
 ここで君の上着を掛けられている彼女は別人じゃないのか?」
「同一人物だろう。時間軸が違うだけだ」
「簡単に言ってくれるな」
「まだ納得できないか?」
「もちろん。それなら僕にだって可能だし、何度も同じ人間を
手に入れることだって可能ってことになるじゃないか」
「それが無理なんだ」
「そうだよな。今まで僕が拉致した人間は全員失踪扱いになってるし」
「実は、同じ時間軸には二度といけないんだ。
といっても、プラマイ五日間ぐらいだけどな」
「約十日間で拉致した人間が復活・いや複製されているってこと?」
「その通り」
「なんて便利な能力なんだ……。いや、ルールというべきか」
「どうだい、お前も欲しい有名人がいたら、いっしょに連れてってやる」
「名前がわからなくてもいいのか?」
「ああ、この画伯のように時間と空間さえわかればどこにでも行ける」
そう言って彼は人類初期の絵を描いた少女の頭をガシガシと掻いた。
「悪いが一人に決められないな」
「もちろん、地球上全国全時代を巡る日帰り旅行も承るぜ」

まず俺たちが向かったのは、中世のヨーロッパである。
その人物だとイメージしながら人名と年齢を思えば、
ピンポイントで目の前に行けるというので、俺はある画家を指名したのだ。
期待通り、彼は仕事中に静止していた。前に座るモデルは、長い黒髪の女性。
そう、あのあまりにも有名な絵画のモデルが最初のターゲットである。
残念ながら名前もわからないが、顔を見れば一目瞭然だ。彼女に間違いない。
俺は数ある裸婦バージョンの模写を忠実に再現するかのように黒衣を脱がせると、
彼にいっしょに自宅へと送ってもらった。
次の目的地は、実際に起きた凶悪事件の現場である。
六人の黒人女性が誘拐・監禁され、死者も出たその筋では有名な事件だ。
俺たちは一人も欠けていない日時を調べて救出に向かった。
なるほどほとんど光の届かない地下深く掘られた穴に、
六人の女性が全裸でうずくまって泣いている。
いや、そのうち一人は犯人と思われる男性に拷問を受けている最中だった。
俺は彼女から、六人全員を穴の中央に運ぶと、そのまま自宅へ脱出した。
約五日後の時点で複製されているこの中の何人かは亡くなってしまうのだが、
その遺伝子は俺の家の調度品として守られていくのである。
最後に向かったのは、去年のニッポンである。
全国ライブ最終日に自分たちが生まれた県でパフォーマンスを披露している、
三人組アイドルグループのコンサート会場である。
三百六十度どの角度からも見えるステージに立つと、
自然と自分も有名人になったような錯覚がする。
その中央で踊る三人も、故郷で歌を歌える喜びをかみしめているようだ。
俺はその幸せそうな表情を崩さないように彼女たちの衣装を脱がせると、
自宅のソファーの前に、いつでも眺められように陳列した。

---作者あとがき

みなさんはポールハンガーの正体、レから始まるアメリカ人だと
思いましたか? それともきから始まるニッポン人?

---

孤独な水鶏さんから投稿作品をいただきました。
皆様のご意見・ご感想をお待ちしています。

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プロフィール

鳥

Author:鳥
ただひたすら
「時間が止まった世界」を、
小説・CGその他で描く
漂流ホームページ
のブログです。
RPGツクールXPで作成中だった「時の箱庭」は、現在差分追加とバグ修正が中心です。
twitterやってます。
https://twitter.com/torijiro_tori

pixivはじめました。
https://www.pixiv.net/users/2241367


↓以下、古すぎてup主もどうなっているか判らない内容
ヒント集は「こちら」。
画像貼り付けは「漂流簡易掲示板」にて。


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